[調査報告]
松江の瓦
その歴史 -1-
松江まちなみ研究会 サイン部門


○市内にみる瓦の分類

(左)向かって左肩上がり「石見型」 (右)向かって右肩上がり「出雲型」

 松江の街並みにみる和風の屋根瓦は、瓦の袖が向かって見て左側(向かって左肩上がり)で、釉薬を使ったいわゆる石州瓦と、それとは反対の瓦の袖が向かって見て右側(向かって右肩上がり)で、素焼き(燻し焼き)の一見して古い昔からのものみられる黒瓦に分かれる。
 この二つの型を、ここでは仮に「石見型」と「出雲型」と呼ぶことにする。


○出雲型瓦の歴史

 この瓦についての文献資料は乏しいようである。そのなかでは、永田鉄雄氏の「私家版『出雲大津窯業誌』平2.11」(以下、誌)は貴重である。
 まずは、この誌に出雲型の歴史の一端をみてみることとしたい。

・燻し焼き瓦
本葺き瓦

桟瓦

 わが国における瓦による屋根葺きは、遠く古代にまで遡るが、中世の安土桃山時代のはじめの元亀年間(1510)の頃に、新しい瓦の製法が伝来したという。
 その一つに、素焼瓦の焼成方を改良した瓦を燻して焼く「燻し瓦」の製法があり、この方法は現在も踏襲されていて、出雲地方の黒瓦はすべてこの焼成法によるものであるという。


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