松江市が、屋上広告物の高さを建物の十分の一以下とするなど水辺での規制に乗り出して3カ月近くになるが、規制に合致するよう協力した広告主はゼロ。規制に強制力がなく、市は広告主に“お願い”する立場で、効果を上げるには「長い時間がかかる」としているが、一方で代償となる補助金の必要性を指摘する声もある。 規制は大橋川など多くの水辺に囲まれた水の都・松江の景観保護が目的。既存の市都市景観条例に規制項目を詳細に盛り込み、四月から施行された。高さのほか、派手な色の規制を設ける▽広告物の色彩は建物と調和のとれたものにするーなどがもられている。 しかし、現在、市は広告物の新規設置、更新時に窓口に来た業者に口頭で協力要請をしている程度。施行前に市内電気店が新築、移転を機に、看板の形を変えたが、条例施行後は一社が市との話し合いを続けているだけ。 市建築指導課の担当者は「景観規制は業者に根気よくお願いするもの。既存の広告物の場合、広告主の収入が減ってしまい、既得権の問題にもなる。代償となる補助金を出せば、効果は上がるだろうが・・・」という。 さらに、市担当者はあくまで現在の条例は「行政の意志表示で、これをきっかけに市民の間に広告物に対する意識が深まれば」とし、「補助金を出すなど税金を投入するのであれば、市民のコンセンサスが前提となる。その場合、議会で議論も必要だろう」としている。 県広告美術協同組合の高野正臣理事長は「松江市の規制は厳しい。行政が援助しないと、はかどらないと思う」としている。 |
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