[調査報告]
松江の瓦
その歴史 -6-
改築時の町並みへのこだわり
また、市民のなかには、自宅の改築に充てるため古い出雲の瓦を、大事に保存したり、手間暇かけて探し出したり、さては特別発注までするなど、この瓦へのこだわりを持つ人も少なからず居るようである。
古い歴史をもつ出雲型瓦は、今なお市民の生活の中に生きているのである。なんとかこの瓦を保全できないものか、と思うことしきりである。
特別注文の瓦を使用
探し求めた瓦を使用
松江市は。平成6年9月制定の「松江市都市景観条例」に基づき『松江市景観形成基本計画』を策定した。そのなかに景観形成方針の一つとして“歴史的遺産の保全と活用”を挙げている。
ついては、これまでに述べてきたいわゆる出雲型瓦を、市のいう歴史的遺産の対象として考えてみてはどうであろう。市内にみるこの屋根瓦には、江戸、明治、大正、昭和そして平成の現在にいたるまで生き続けてきた貴重な歴史の跡があり、それはそれなりの価値を持っていると考えられる。もとより異論はあろう。が、これこそ市民・事業者・市の三者による意見交換をしてみる必要がありはしないだろうか。
ちなみに、京都市の産寧坂地区、愛媛内子町の八日市護国地区は、行政と住民が一体となって伝統的な町並み保存に努め、成果をあげているという。また群馬県の藤岡瓦、兵庫県の明石瓦、愛媛県の菊間瓦などは、今なお伝統を守り盛んに燻し瓦が生産されていると聞く。松江市にとって格好の参考事例ではあるまいか。
平成9年1月22日
松江まちなみ研究会 サイン部門
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