[参考資料]
京都市の看板事情(1)
「京の看板地味〜に」
朝日新聞(1996.8.1朝刊より)
左「標準仕様」右「京都仕様」
全国どこでも同じデザインで親しまれているチェーン店の看板が、京都市内ではちょっと趣が異なる。文化財や自然景観を守るために様々な規制を設けた同市の屋外広告物条例に配慮して、各企業が標準仕様よりも地味な配色の看板を用意しているのだ。市議会は7月31日、さらに厳しい規制を盛り込んだ同条例の全面改正案を可決した。ビルの窓の内側の広告物や自動販売機の色にも基準を設ける内容だ。
世界中に店舗を展開する「マクドナルドハンバーガー」。「うちは赤と黄色が世界共通のコーポレートカラー。看板も赤地に黄文字」と説明するが、京都市内の店の大半は茶色地にしている。「コストもかかるが、その地域の文化も尊重しなければ」という。
オレンジ色の看板で売り込む牛丼(ぎゅうどん)店チェーンの「吉野屋」は、京都への進出の当初、一部の店は市から「看板は全部白地にするように」と言われた。「白地に黒文字では葬儀の看板のようだ」と困り果て、オレンジ色の線を入れることで話しがまとまった。店側は「車からは目立ちにくいが、一度来ていただければ、異色の看板でかえって覚えてもらえる」。
このほか、標準仕様の看板が赤色を中心とした原色となっている企業では、文字と地の部分の配色を逆にして地味なトーンにしているケースが目立つ。
市の屋外広告物条例施行規則は、「禁止広告物」として「色彩などがけばけばしい印象を与える」「建築物と不調和」「都市の美観・自然景観を害する」などを列記している。「禁止の色」を具体的に決めているわけではないが、市の指導や企業の自主判断で結果的に原色が減っている。
市都市景観課は「京都で営業するのであれば、市民に認めてもらえるよう協力していただきたい。企業のイメージアップになるのでは」と話している。
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